みなさんの声/みまもり体験談
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●Vol.14 人生いろいろ
書道、絵画に源氏物語。
充実した生活は、人目には恵まれた老後と写るかもしれません。
でも、数々の試練を経験し、それをはね返してきたからこそ今の生活があるのです。
福岡市でiポットをお使いの石田さん(84歳)を訪ねました。
2006年5月
厳寒の北海道で

「私にとって外の世界との接点。大切なポットですよ」ニコニコとおだやかに話す石田さん。
はずれくじもいいとこだわ...
かつて石田さんはそういって自分の人生を嘆いたこともありました。

炭坑職員だったご主人と19で結婚。
生まれ育った函館と違って、炭坑があった北海道中央部の寒さは厳しく、生活は苦しいものでした。
長男が生まれて間もなくご主人が南方戦線へ。終戦後、火事で全財産を失い、バラックで生活するころ長女が生まれました。
さらに、次男が生まれたころ、ご主人が結核で札幌に入院。再び長い離ればなれの暮らしを余儀なくされました。

その後迎えた炭坑不況。合理化事業によって福岡へ転勤することになります。
しかし、それは石田さんにとって、暖かい土地での新しい生活。
「きっとこれが転機」と胸を躍らせました。

「字を書くことは、知ること、考えることが増え、自らを豊かにした」と石田さん。
第二の人生の始まり
ところが、そんな思いもつかの間のこと。
ほどなくご主人はがんで亡くなってしまわれました。石田さんが48歳のときでした。

なぜこうも試練が続くのだろう?
しかし、収入が途絶え、貯金を食いつぶす日々に、いつまでも嘆いてばかりはいられません。

収入の道を探るなか、思いついたのは書道教室を開くことでした。女学校時代、好きだったし、「うまいね」と褒められもしました。
できることといったら、それしかない...
改めて勉強を始め、1年後には本屋さんの二階で勤め帰りの若い人たちに教えるようになりました。
「若いということは、試練をはね返す力があるということですよ」
当時を振り返って、石田さんはにこやかに話します。

思い切って個展を

いつも源氏物語の朗読を聴きながらキャンパスに向かいました。油絵と源氏物語は精神の支えだったのです。
「油絵の個展を開こう」と周囲を驚かせたのは60歳を迎えるころでした。
油絵を始めたのは30代の終わり。18年間描き貯めた絵を並べて、感慨にふけるのもいいではないか...

思い切って開いた個展はその後も回を重ね、おととし83歳のときには5回目を数えるまでになりました。

その他にも源氏物語の朗読を聴いたり、新聞へ随筆を投稿したり。幅広い活動は、第二の人生を豊かにしてきました。

昔を思えば、今は
「このごろはすぐに疲れちゃうんですよ」
そういって、さすがに今では絵を一から描くことはなくなりました。
でも、石田さんはいいます。
「老いは宿命。素直に自覚しながら暮らしていくほかありません。でも、今は文明の利器にも助けられ、この歳になっても気ままな生活をさせてもらえます。このiポットもそう。若い人たちの努力に感謝するばかりです」

庭の花木を愛で、時おり昔の絵の手直しをする。そんな静かで自由な日々に喜びを感じながら、石田さんは今こんな風に思っています。
自分の人生、案外当たりくじだったのかも...
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